以前、ブログで制震ダンパーの振動台実験は消費者に誤解を与える内容になっていると書いたのですが、今回はなぜそうなのかを書きます。

それはズバリ言って、制振装置が入っていない実験台建物には、その部分に代わりとなる耐力壁が入っていない、という事。

制震ダンパーのほとんどは耐力壁として考えられるものです。「壁倍率」がダンパーに存在するのです。
この壁倍率は各社で違いますが、およそ45x90の筋交いをたすき掛けした筋交いと同じくらいの強さがあると思っていただいて良いと思います。

ダンパーの壁倍率が何倍で国土交通大臣認定とか、認定は無いけど何倍相当、などダンパー自体が耐力壁の役割を果たしているのに、比較側の実験建物にはその部分に耐力壁を設けずに、地震動で揺らす。

さてどちらが揺れるでしょう?
簡単な話ですよね。

ダンパーの代わりに同じだけの壁倍率がある耐力壁を入れた状態で揺らしたら、その差はここまで顕著に出ないと思います。本当に良い商品なら、ダンパーを入れていない実験建物に耐力壁を設けて比較して、その上でどれくらいの効果があるのかを、動画なりHPで広告しないと。

それと、耐震等級3の建物でこう言った実験をしないと、ダンパーつければ大丈夫みたいな誤解を生むのは必至です。耐震と制震は原理も考え方も違うので、制震だけでは成り立ちません。耐震のその先にあるのが制震なので、その耐震の部分がいい加減なこういった振動台実験は制震の効果を確認する事はできても、耐震性に関しては何の参考にもならないのです。

ちなみに下記の動画はとても良いと思います。
地震波も阪神淡路大震災で、熊本地震よりも揺れが大きい地震です。それで筋交いと面材での比較もある。

丸庄建設ではwallstatを使って、この振動台実験をパソコンでシミュレーションする事ができます。その結果、制震ダンパーが無くとも繰り返す震度7の地震にも何度も耐えられることを確認します。

さらにそれでもダンパーを入れたいという事であれば、ダンパーを入れた状態でwallstatで検証します。

耐震等級3はそう簡単に壊れたりしません。