家づくりって始めに何を考えればいいのか?

私が思う答えは、「これからの暮らし方を考える事」だと思います。

建築士の私自身、自分の家を建てる時にとても悩みました。
まずは間取り。
仕事が終わって家に帰ってからコツコツと1年間で5つの土地に100以上の間取りを描いて、その度にそこでどんな暮らしがしたいのか?をとことん夫婦で話しました。

と言っても最初は、

私:「どんな家がいいかな〜?」
妻:「ん〜わからーん」
私:「間取り作ったけどどうかなー?」
妻:「ん〜微妙〜」

と言う会話しかありませんでした。
意外と皆さんこんな感じではないですか??

どんな家がいいか?ではない。

そんなこんなで、自宅計画はなかなか話が前に進まず、私自身、間取りや土地の考えを改める方向に進みました。

家の間取りやデザインはどんなものがいいのか、ベストが何かもわからないまま間取りを描いていても前に進まない、でも、これからどんな風に妻や子供と暮らしていきたいかなら想像できる、と。

そこで一旦プラン作成するのをやめました。

そもそも自分はどんな暮らしがしたいのか?

とは言え、どんな暮らしがしたいかと考えてもピンとこずに、なかなか妻との会話も弾まなかったのに、続けていくうちに気がついたら間取りのことではなく、暮らし方を話すようになっていました。

「薪ストーブで料理してみたいよね。憧れる〜」
「帰ってきたらまず手洗いたいよね」
「洗濯機にすぐ着替え入れて洗いたいよね」
「庭でバーベキューしたい!」
「柱に子供の身長を刻んでいきたいなー」
「広いリビングでユーフォニアム吹きたい」
「大きな水槽でアクアリウムやりたい」
「老後は1階で寝られるといいね」
「歳をとったらハンギングチェアーで猫と日向ぼっこしたいね」


など、冗談混じりで老後の生活なんかを話していたことを思い出します。

暮らし方が分かれば間取りも分かる。

あれだけ悩んだ間取りも暮らし方を考えたら自然と決まっていました。

間取りは形のないパズルです。だからただ間取りを考えていても無数のプランが生まれます。しかしそこに暮らしを当てはめていくと意外とそれが実現できる間取りが限られることに気が付きます。

そんなこんなで私の場合は、想像や理想だった暮らし方が意外と今そのまま現実になっていて、子供の成長を柱に刻んだり、BBQはもちろん、家事がとても楽になったことや、日向ぼっこしたり(まだ老後ではないですが)、今思えば「家づくりはこれからの暮らし方を考える事」だったんだ、と今更ながら思いました。


終わりに。

とにかく最初はイメージが膨らんでいないですし、何を聞いたり見たりしても、何となく他人事と言うか、自分たちが家を建てると言う実感がないので、どんな家がいいのかわからないものです。

暮らしを考え、それを間取りに落とし込むのには、かなり長い時間を要します。それは、暮らしは“理想”であり、間取りは“現実”だからです。そのギャップを埋めるために間取りに納得するのには少し時間がかかるのだと思います。