6月で私が丸庄に入社して丸10年経ちました。長かったように思います。本当に色々変わりました。社員も増え、構造や断熱などの家の仕様も価格も大きく変わりました。
しかし変わっていないものもあって、家づくりに対する情熱と、楽しさ。これは以前に増して、今の方がより充実していると思います。
丸庄の仕様は性能を上げようとして上げているのではありません。単に、本当に快適な「暮らし」とはどうしたらできるのか?を考えた結果が、今の仕様となっているだけ。
これからも暮らしを考えていきたいと思います。
さて今日の話題は、ほぼ100%の確率で欠陥住宅かもしれないという他の記事を見たのでネタにします。ちょうどうちの設計事務所登録の2度目の更新を迎え、書面調査というものの対象だったため、いい機会でしたので、建築士法で必要な書類を改めて確認していたところ辿り着いたのがこちら。
神崎法律事務所|京都市中京区 建築基準法改正による「4号特例」の縮小
欠陥住宅の温床「4号特例」とは の「(4) 「無法地帯」と化していた4号建物」というところで、まぁ世の中の真実が調査してようやくこうやって明るみに出てきたよ、と言っているわけです。
以前にもブログで書いたことが何度かあるかもしれませんが、岐阜の工務店のほとんどでもこれが当てはまっていたと思います。要は設計者というのは間取りや図面を書いておしまい、壁量計算や伏せ図は、プレカット屋さんヨロシク、というのが当たり前だったんです。これは紛れもない真実。
そんな中で丸庄建設は?というと、全て自社にて計画していました。建築士法では過去15年の図面や構造計算書の保存が義務化されています。そんな昔のあるかなー?と調べていたわけですが、ちゃーんとありましたのでホッとしてのですが、同時にこの記事も見つけたという訳です。
耐震等級3がここまで広まったのはここ3年くらいの話です。私は2017〜18年頃から耐震等級3の取得をするようになりましたが、その頃は、世の中的には認定を取っていたとしても壁量計算と仕様規程がほとんどでなかったでしょうか。
壁量計算すら自分でできないという建築士の方が圧倒的に多いと思いますし、設計者が意匠設計も構造計算もすることはかなり稀です。
それは単に建築士の技量不足もあるのですが、会社の効率化の果てに、分業制という、「間取り作る人」「見積もり積算する人」「詳細図面描く人」「デザイン考える人」「構造考える人」みたいに細分化されすぎて、能力が向上するような「仕組み」を会社が奪ってしまっているんですね。
なぜだと思いますか?
安く・ミスを少なく・効率化して、利益率をあげるためです。住宅購入者が、よりいい家を、安く手に入れようと考えれば考えるほど、住宅業界はこの流れを取り入れなくては、価格競争についていけなくなるのです。
この分業制スタイルは今、棟数を増やすための手段として、情報商材になっています。
小さな工務店がなぜここまで棟数を増やして売上を拡大できたのか──。
みたいな。
何のために売上を伸ばすのか?何のために会社を拡大するのか?
そこがわかっていない経営者が、こんな情報商材に乗せられて、分業制にして、事業拡大?そこで働く人は確かに給料は上がるかもしれない、でも人生の多くの時間を費やす仕事が、まるでロボットのような決まった仕事なんて、そんな会社に私はしたくないと思うのです。
これからますます家の価格は上がります。もちろん価格競争も激化していきます。価値のないものをいかに価値あるものに見せて売るか、更なる細分化で間違いなく、構造設計が初期の設計段階で考慮されることなどあり得ず、また悲惨な事件が起こりそうな予感すらします。
と、ちょっと怖い話をしましたが、全ての会社がそうではないので、性能やデザインも大事なのですが、決め手はやはり、有資格者の建築士が担当してくれて自分で設計しているかどうか。
営業設計なんて論外です。設計士も論外。設計士なんて資格はありませんので。木造、二級、一級建築士が自分の担当かどうか、これが大前提。その上で構造計算は誰がやるのか、社内なのか社外なのか、自分以外の人が構造計算をやるならば、確認申請に必ず名前が出てくるはずです。
建築士にはモラルがあります。それは国家資格という重みや、3年毎の定期講習でも職業倫理を常に考える職業だからです。だから設計担当者が有資格者であるのは最低限の条件。むしろそうでないと違法ですから。資格がない人は設計してはいけないのです。
と、なんか不安を煽っただけの内容になって申し訳ないですが、それくらい無法地帯だった、ということ。この法改正が住宅業界の光明となるのか。。
他にも最近気がついた構造の闇ポイントもあるのですが、それはまたの機会に書きます。