新しい珪藻土の内装材が出ましたので、早速試し塗り。パテ処理の不陸を拾う具合と下地の透け感などを確認するためサンプルを作りました。塗り回数や下地の状態を場所ごとで変えてみました。右下が一番下地を拾っていなさそうです。私が作ったのでアラが目立ちますが・・

この商品は誰でも簡単に塗れることと、ビニールクロスの環境問題や健康問題といったところも開発コンセプトになっていて、塗装職人はもちろん、クロス職人やお客様でもこの写真のような仕上げをできる施工性の良さが特徴です。

開発段階からお話を聞いていて、この仕上げ材を使うことで、職人もお客様も笑顔になれる、そんな商品だと感じ、現在工事中のお客さまにご提案させていただき、施工が決まりました。それともしかするとクロスと比較してもそこまで金額が上がらないのではないか!?なんてこともあり得そうだと、職人さんと相談しながら良いものが安く提供できる仕組みをつくったりしています。

新しい商品ですが、珪藻土なので歴史のある材料です。珪藻土は発がん性があるという情報も出回ったりしたこともありますが、全くのガセです。


今の家づくりの需要としては、安くて性能が良くて、維持費も掛からなくて、という工業製品を多用したものがまだまだ多いです。全体で見ればほとんどがそれと言っていいくらいです。

こだわった家は高い、そんな常識を打ち破る工務店も出始めていますが、安く提供するためには企業の努力だけでは限界があります。

それは棟数が多い会社ほど資材は安く購入できる仕組みが存在しているからです。住宅設備や構造材、窓をはじめ、ほぼ全ての仕入れ部材に関してはこの方程式となります。どんな業種でもそうです。お得意さまは安くなる仕組み。だから年間棟数を絞って、細部まで拘った家づくりをする小規模な工務店や設計事務所の分離発注などでは価格を下げようにも下がらない。

そこで、安く仕入れるための仕組みなんかもあるわけですが、それにも限界がある。

だからその同じものを安く仕入れる事ばかりに執着すると、結局最初の話の、安くて性能が良くて・・・になって、それはもう目先のことしか考えていない選択なのでは、という想いなのです。

今、建築業界の職人不足、担い手がいないとみんな声をあげています。

でも実は岐阜県の木造住宅全体着工数は10年前からそれほど変わっていません。7000棟前後をうろうろ。着工数が劇的に増えているなら確かに人手不足になる。本当に人手不足なのか?それはイエスでもノーでもあると私は思っています。

工業製品ばかりの簡単に施工できる家では、職人の腕は磨かれない。安く早く、数をこなす。

するとどうなるか。

技術を持った高齢の職人から技術が伝承されないまま、代が入れ替わっていく。すると工業製品しか扱えない若い職人ばかり増えて、少し変わった仕上げや工法はできないと言われ、割に合わないと断るようなことが起こります。

これが私たちこだわりを持った有志の中での職人不足していると言われる真の理由ではないかと。


今の住宅業界は目先の事しか考えていないのか?と思ったのは、結局いいものを安く、それが日本の技術や文化を衰退させ、ものづくりの楽しさを感じなくさせ、賃金がいつまで経っても上がらない業界にしたのは業界を引っ張ってきた企業の責任だと、豊かな暮らしを真に考え、日本の発展と未来を見て、目先の利益に走らなければ、今の家づくりも少しはマシになっていたのでは、と思わざるを得ない世の中と感じています。

会社の利益も大事、でもつくるのはその会社の人間ではない職人と呼ばれる人たち。その人たちの技術ややりがい、想いというのも大切にしたい。

そうはいっても、安い家も必要だし悪いことでもない。むしろそれがなければ世の中回っていかない。それをつくる企業にも人がいて、暮らしがあって、単純な話では無いのはわかっているけど、少なくともうちは、こだわりを捨ててはいけないし、流されてもいけない。変なこだわりは無くして・・

安く仕入れる努力もして、値段を変えずにクオリティを上げる仕組みをつくる。

家をつくる仕事なのですが、暮らし方や生き方、未来を考えて仕事させていただける、お客さまや仲間に感謝しかないですね。