外壁や軒裏、木サッシにフェンスと、外部に面した場所にこれほど木を使わせていただいたお家は少ないですが、少し前に一年点検にお伺いしてきました。

お引き渡しの時には真新しい木の色だったフェンスも、シルバーグレーになりかけていい味が出始めていました。外壁や軒裏は庇が1.4m出ているおかげで全く雨染みはないですが、日焼けして少し色が薄くなっています。

よく、木は劣化するから、見た目が汚く見えるから、メンテナンスが大変だから、などと木を敬遠される方もいらっしゃいますが、それには正解も不正解もありません。

木の雰囲気や好きな方はそれを汚いとは思わないでしょうし、むしろ経年変化があって本物さを感じることが価値でもあります。一方でずっと綺麗な外観や変わらない見た目を維持することに重きを置かれる方にとってはその変化は劣化になってしまう。

どちらの意見も個性です。だからこそそういった家を建てる方の想いを尊重した家づくりが大切だと思っています。


どんな素材を使ってもいずれは劣化します。でも家を建てたのあれば、劣化してもその家をずっと好きでいてほしいなと思っています。そう思う理由は一つではないですが、改修工事を多くさせていただいてきた中で、ご年配の方々がよく話されることがあり、それは、建てた時の思い出や、“今もこの家が大切”だという事。

建てる時の大変さやエピソードなんかは、これから注文住宅を建てる方や、このブログを見てくださっている方もなんとなくわかると思います。今もこの家が大切だ、というのは、ご家族を亡くされている方がみなさん言われます。

なぜ大切か。それは家族の思い出がたくさん詰まっているから。だからこそ、メンテナンスして、今は亡きご家族との思い出の家をできる限り綺麗な状態で維持したい、そう仰られます。家が好き、というよりかは、その家での思い出こそ、残された方の財産だと感じています。

先ほどの木の話ではないですが、そのご家族が悩んで、選択したことは、いつか思い出になります。

例えば木の外壁やフェンスが朽ち果ててメンテナンスが必要になった時、私は、また木を使ってほしいと思います。ご家族がご健在だったらもしかしたら次はメンテナンスが不要な材料を選択するかもしれません。でももし愛する人がいなかったら?例え手間がかかろうとも、あの人だったらこうしたいって言うだろうなって、私だったら考えると思います。


これから家を建てる方にとっては全くイメージも湧かないし、そんな事よりまずはいい家建てたい!ってなるので、こういった話はあまり口には出していません。が、ずっとその家を好きでいてほしい、と言う想いの裏にはそんな今までの経験だったりいろんな方のお話があって、今の丸庄建設の家づくりに活かされているのでした。

例え話は綺麗事かもしれません。実際にはそんなことにお金を使うより、別のことにお金を使った方がよっぽど思い出になるのかもしれません。でもここは、家の事を考える私の心の中の話。そんなことになるかもしれないねと、思って見ていただければ幸いです。