
あわいの家
古い団地の一角に建つ、夫婦二人のための終の棲家。
建て替えにあたり、大きく暮らすのではなく、日々が静かに整う住まいを目指しました。
延床約20坪の平屋は、必要以上に広げるのではなく、暮らしの動きや気持ちの流れを丁寧に整えることで豊かさをつくっています。収納や設備などの生活機能はバックヤード側にまとめ、暮らしの中心となる空間には余白を残しました。小さな住まいだからこそ、視界や動線に無理がなく、穏やかな日常が自然に続いていきます。
この家のテーマは「あわい」です。
内と外、空間と空間、人と街。境界をはっきりと分けるのではなく、そのあいだにあるやわらかな距離を大切にしました。
深い軒の下には土間テラスを設け、室内と庭のあいだに中間の居場所をつくっています。庭に出るための通路ではなく、ただそこに居られる場所。外と近すぎず遠すぎない距離が生まれることで、団地という環境の中でも落ち着いた時間が流れます。
建て替えに際して庭はつくり直さず、これまでの庭をそのまま残しました。雪見障子越しに見える庭は、光や季節の変化をやわらかく室内に届けます。外の景色をそのまま取り込むのではなく、障子を通して整えることで、外界の刺激を穏やかに受け取れる空間としました。
外壁には焼杉を用い、素材そのものの表情を活かした自然素材の住まいとしています。強く主張する素材ではなく、光や影、時間の変化とともに静かに馴染んでいく佇まいです。
また、この住まいは静かな空間の背後に、安心して暮らし続けるための性能を備えています。断熱性や気密性、耐震性、防火性など、日々の暮らしを長く支える基本性能を丁寧に整えました。性能は主役として語るものではありませんが、穏やかな日常を支えるための大切な土台です。
街の中にありながら、外とゆるやかにつながり、心がほどける静けさを持つ住まい。
境界の「あわい」を大切にしながら、日々の暮らしが自然に整っていく家を目指しました。
DATA
延床面積:68.32㎡ (20.67坪)
敷地面積:219.50㎡(66.40坪)
- 耐震性能:耐震等級3の最大2.04倍
- 許容応力度計算
- 時刻歴応答解析
- 断熱性能:UA値0.35 断熱等性能等級6
- 平均日射熱取得率:ηAC値1.4
- 一次エネルギー消費等級:最高等級
- C値 0.25cm2/m2
- 住宅性能表示制度
- 省令準耐火構造
- 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS):★★★★★★最高等級
- 太陽光発電4.4kw









