前回のブログで第一種換気に触れましたので、少し私の考えを書いてみます。

一種換気のデメリットはいろいろあります。知りたい方はサーフィンをお楽しみいただくとして、私が思う最大のデメリットは新鮮空気の提供経路の衛生面でした。

一種換気の種類

いろいろ細かく分ければありますが、大きく分けると
①ダクト式
②床下ダクトレス
③部屋内ダクトレス
の3通り。

各換気システムの問題点

③の衛生面と、換気の経路は気になります。③は給排気が同じ場所というのが気になるのは私だけでしょうか。また、一定時間で各居室に新鮮空気も汚染空気も出入りする状態。空気を家全体で循環させる前提で考えれば問題ない換気ですが、居室を閉めた状態では換気としての機能を確実に果たしているかはグレーゾーンかなと思います。

①ダクト式は、換気としての機能も確実に果たせる、だけどダクト内が汚れるとか埃が溜まるとか言われています。実際には定期的なフィルター清掃を行えば、画像検索で出てくるようなことは起こりません。ただ狭い経路を結構な風量が流れるので、長い目で見れば埃が付着するのは確実です。またダクトの配管費用や施工費もかかるは事実。

②床下を給気経路とした給気ダクトレスのシステムも、基本的には一階居室のみ新鮮空気を直接配れますが、2階があれば全ての居室に新鮮空気を直接配れないので(LDKなど経由した空気が2階居室に流れ込む)、居室を閉じた時の換気として成り立っているかを考えるとグレーゾーン。家全体で見れば換気はできています。

今回私が考えた換気方法はこの②のシステムを応用するので、下記に既存のシステムの問題を洗い出してみます。

床下ダクトレスの問題点

②の場合に最も気になるのは、床下がそもそもそれほど綺麗な空間ではない事です。どうやって家が経つかを考えれば、そこを通った空気はあまり気持ちがいいものとは言えないかなと思っています。もちろんこれは作り手側の意識の問題であり、基礎打設以降の土足厳禁は当然にやった上で、土台伏せまで終わった後に防塵塗料かオートレベラーまで流し込めば許容範囲かなとも思います。そんな工務店は私が知る限り岐阜にはないです。

また、基礎断熱の場合は内側に断熱施工することも多いですが、基礎と断熱を同時に打設しないと、断熱材と基礎の間の隙間を無くすことは不可能なので、少なからずそこにカビは発生します。

②の場合もう一点は長期優良住宅でも必須になる防蟻処理をどうやるかも重要で、丸庄建設の場合は土台、柱、間柱、筋交、外部胴縁オールひのきで薬剤なしでOKです。もしsumikaを通常通り使っていて、防蟻処理を現場施工でやっている会社があればゾッとします。薬剤にふれて出てきた空気を、私ならあまり吸いたくないです。

②で埃が溜まるのは①でも同じなのでそこはあまり気にしない方がよく、広い空間なので埃が溜まったように見えないと言った方が正確かも知れません。また塊になった埃は換気の風量で舞い上がることはないため、通常時は家中に埃が舞い上がることも気にしなくても良いと思います。

ただし、床下点検の時に狭い床下を這って点検するので、床下から空気が噴き出す換気方式では埃が室内に一気に舞い上がります。これが点検のたびに起こると考えるとあまり良い換気方式とも言えないと思います。

今までにない一種換気の開発

言い出すとキリがないですが、なんとかそれぞれのメリットを取り入れつつ、デメリットを解消する方法がないかと商品を探しましたが、階間給気の近いものはあるけれど、何かが及ばず。

そんなこんなで一種換気はどれがいいか?という答えが3年ほど出ずにいましたが、②のシステムの使い方を工夫することで、私が思うデメリットは全て解消されたシステムを勝手に考案しました。

簡単に言えば、

・床下ダクトレス換気システム(マーベックスsumika)の床下の空間を給気ではなく排気として使う事
・各部屋に送る新鮮空気を1階と2階の間の階間から行うこと

原理は単純ですが、床下と階間の空気を混ぜないようにすることは意外と難しいのです。

階間空間は建築中に埃を払いながら天井を張ることでかなり清潔な空間を作れますので、空気の質に本当にこだわるならいい方法かと思います。

これは今まで培ってきた床断熱で気密処理を徹底的にできるノウハウと、省令準耐火を組み合わせないと成り立たない換気方式なので、施工は大変だろうとは思います。

欠点があるとすれば、音が伝わりやすいということは言えると思います。その場合は二重天井で対応できると思いますので、音の問題は解消する方法はあります。

三種換気の問題点

ダクト式の3種ルフロ換気でも良いと思っておりますが、やはり家の中の温度ムラや、湿度管理を行う事を考えると一種の導入を検討していく必要があると思っています。

3種換気で温度ムラや湿度管理を行うためには、住み手の理解度とそれを実践し続けられるかにかかってきます。建てたお家で温湿度をモニタリングさせていただいているのですが、やはり、快適な家とそうでない家では明らかに実践の内容が違います。弊社ではなるべくエアコンの稼働は少なく快適になるように考えます。それは間取りの工夫は大前提としていますが、サーキュレーターの併用やドアが開いている前提で考えます。打ち合わせの時に、サーキュレーターで空気を移動させることと、ドアをオープンにして閉めるのは最小限にすることをお伝えするのですが、それがなかなか実践できないものです。

また温湿度を均一にするためには吹抜けを設けて、温度差による空気の対流も活用しますので、吹き抜けは絶対にあったほうが良いです。

3種の場合、快適な室温で考えた場合、夏は湿度を60%以下に保つのは至難の業です。冬は湿度を50%以上にするのはかなりの加湿をしないといけません。3種換気は確かに換気自体の省エネ性や維持管理性は高いですが、快適にするために送風機や加湿・除湿機を使いこなし、それらを維持・コントロールする労力を考えれば、一種換気は意味のあるもだと思います。

また、冬場に冷気を感にくいように給気口は部屋の上部につけることが望ましく、弊社の場合は必ずエアコンの下に付けるようにしていますが、フィルターを取り外した際に顔付近に埃が舞うため、フィルターのお手入れにも気を使います。特にベッドが近くにあると尚更です。

何を選択すべきか

使う物を選ぶ家づくりではなく、理想の暮らしぶり考え、それを実現できる方法は何かを知ることが必要です。

おそらく世の中の情報では、三種換気は一種換気より劣るという認識だと思いますが、それは違います。三種換気を使いこなせる暮らし上級者の方が圧倒的に少なく、ほとんどの人が一種換気を導入した方が後悔が少ないと思います。ただし、それぞれの一種換気のデメリットをどこまで理解して納得できるか。

費用に関してはルフロは安いです。家の大きさによって変わりますが、5〜20万円ほど一種換気は高いです。電気代も一種の方が高くなりがちです。しかしそれは三種で加湿器や除湿器を使うのであれば逆転します。本体の価格は一種換気が高いので、交換時は三種に比べると高いのは確実です。

断熱の話も似たようなものですが、元を取ると考えると選択肢は減ります。高気密高断熱の家を求めるのあれば、元を取るという考えよりか、より快適に暮らすために、最小限の費用で済むように考えることが重要です。


新しいブランドビジョン「暮らすを、最高の喜びに。」

それを考えれば、住環境を気にしながらどう快適に工夫するかを考える暮らしよりも、何も考えなくても快適に暮らせた方が、人生の質は向上するのではないでしょうか。一種換気を使う大きな理由になると思います。

もちろん、その快適性を追い求めることが楽しくできる方は、普段の暮らしが喜びになっているのでそれはそれで大賛成です!