先日まで開催させていただいた、「 格 」木蘭色-Mokuranjiki-の家 の完成見学会にお越し頂いた皆様、わざわざ足をお運びいただきありがとうございました。
また、お施主様も大切な建物で見学会をさせていただき本当にありがとうございました。

今回の見学会は50坪オーバーで廊下にトイレに至る所が広めの設計で介護対応の家でした。ここまで広いとイメージが湧きにくいところもあったかもしれませんが、皆様の今後の参考になれば幸いです。

家が大きくなるとそれだけ重たくなります。という事は耐力壁もたくさん必要になります。内覧会のお家、見て頂いた壁の8割が耐力壁です。

一般的な耐力壁は910mmの耐力壁幅でないと効果が出なかったり小さくなったりします。今回のお家では455mmの壁も特殊な金物を使用して耐力壁にしています。↓

wallstatで何十回とシミュレーションして阪神淡路大震災の地震動でも損傷をほとんど受けないようにするためにやっています。

建築基準法では層間変形角を1/200と定め、木造は1/120まで緩和されています。一般的な階高(1階床面~2階床面まで)は3000mmなので、その1/120で25mm程度が1階床面に比べ2階床面で動いている計算です。3000mmの1/200なら15mmですね。

仮に層間変形角1/200の家があったとして、実際の阪神淡路大震災では層間変形角はどれくらいになって、2階床面で何ミリ動くのか。15mmではありません
wallstatを使ってシミュレーションするとおよそ1/100となります。正確には南北方向と東西方向で揺れに違いがあるので、不利側で1/100程度です。
建築基準法では15mmの想定、でも実際の阪神淡路大震災では約30mm動きます。

建築基準法の想定地震と実際の地震には大きな差があります。

層間変形角が1/100を下回ってくると徐々に損傷が始まり1/90~1/80で壁面の亀裂が目視できるようになると言われています。1/50~1/30で構造体のゆがみで窓やドアの開閉が困難に、1/30を下回ると構造体の破壊が進行し、倒壊に繋がります。


で、丸庄建設の今回の家は層間変形角どれくらいなのよ!?
今回の内覧会の建物(階高2900mm)
■建築基準法上では
→1階X方向(東西)が1/206(14.1mm)、Y方向(南北)1/230(12.6mm)、2階は1/300以上
■実際の阪神淡路大震災では
→1階X方向(東西)が1/143(20.2mm)、1階Y方向(南北)1/107(27.1mm)、
→2階X方向(東西)が1/134(21.6mm)、2階Y方向(南北)1/144(20.1)

次回6月頃見学会を予定している建物(階高2900mm)
■建築基準法上では
→1階X方向(東西)が1/286(10.1mm)、Y方向(南北)1/335(8.7mm)、2階は1/300以上
■実際の阪神淡路大震災では
→1階X方向(東西)が1/320(9.1mm)、1階Y方向(南北)1/142(20.4mm)、
→2階X方向(東西)が1/367(7.9mm)、2階Y方向(南北)1/127(22.8mm)


普通の耐震等級3だったら阪神淡路大震災クラスの地震で1/80を優に下回ります。1/50かもしれません。
それは何を意味しますか?

丸庄建設ではwallstatシミュレーションをして、阪神淡路大震災で1/100を切らない事を基準に設計しています。ちなみに熊本地震は阪神淡路大震災に比べ地震被害はとても少ないので、熊本地震で1/100では全くダメです。

今回の内覧会の家では、1階Y方向(南北)が少し他と比べて弱点となりえそうだったので、455mmの壁も耐力壁とする金物を入れ強度を増し、さらに繰り返しの地震にも耐える特殊な金物を採用しました。


よく、相談会にお越し頂いた方にこんなお話を聞きます。

デザインのために構造や性能を犠牲にすることはないですか?って。
あり得ませんし、ここまで耐震性を数値化できる工務店は岐阜でも数社あるかないかです。皆さんが知らない小さな工務店や設計事務所がこういった事をやっています。
耐震性だけでなく、断熱性能も数値化し、世間一般が良しとするより厳しい基準を設ける。その上で設計をする。

耐震性で他社と比較するなら、モデルハウスでなく、これから建てる家が何センチ動くかまで比較してください。

もっと言うなれば比較はできません。
これだけの耐震性は他社ではそうそう手に入りませんから。

この耐震性が必要かどうか。それだけです。

今回は耐震の話でしたが、断熱、デザインについても次回以降書いてみたいと思います。