現在計画中の家の構造検討がようやく終わりそうです。
以前から構造計算はOKになっていたのですが、wallstatの解析では大きく変形していました。

実際にはこんなに変形はしないだろうとは思っていても、構造ソフトの仕様上、どうしても完全にwallstatとの連携がとれていない機能があったりで、左上の梁がぐにゃっと曲がってしまっています。これを抑えるために「登り梁」を入力したけど、wallstatには表示されない・・。

構造ソフトでは「登り梁」は屋根を支えるためだけの梁とみなされ、構造上重要な梁として入力できません。そのためwallstatに情報が引き継がれないのです。

構造ソフトが“ある基準”を守って計算する事を前提条件としてつくられているので、あまり変わった構造の検討がそもそもできない事になっています。しかしwallstatは骨組みや耐力壁をある程度自由に配置でき、その入力内容が地震動でどれくらい変形するかを確認する事ができるソフトなので、構造のソフトとは少し違ったアプローチとなります。

そのため、構造ソフトでwallstatのベースモデルを作成したのちに、wallstatでさらに追加の情報として登り梁を構造材として入力するという手法で、登り梁を使った場合の安全性を確認する事が可能となりました。

我ながら良い考えだ、簡単にできるだろうと思ったのが甘かったです。またしても数日間パソコンとにらめっこする事に。その甲斐あって「登り梁」を構造材として入力し、大地震でもびくともしない構造になっていることを確認できました。

今回のお家は構造的にかなりチャレンジした建物です。だからこそその裏付けが大切です。「多分できるだろう」「木造だから大丈夫」「構造計算したから大丈夫」というのは、wallstatを使うとその考えの甘さを思い知らされます。

誰かから聞いたり、教科書や参考書を見るだけではそれは知識で終わってしまいます。実践・行動する事で知識から経験や財産になると思います。自分のモノにしてこそ「学び」。

こうやって学ばせていただけたことで、また次に新しい発想や応用ができ、今後のご提案の中で還元していく事ができれば、より良い会社になると思っています。