過去にも木繊維断熱材については記事にしたことがありますが、いよいよ来月から木繊維断熱材のお家が着工します。

断熱材にはさまざまなものがありますが、正直どれにも長所・短所があります。今まで標準的にっているグラスウールはやはりコスパは最強です。施工に関しては綺麗に入れられないとか隙間ができるとか調べると色々出てきますが、そんなことはないのはこのブログを読んでくださっている方はもう知っていますよね。

グラスウールは湿気に弱いので、調湿気密シートを使うか、外の透湿抵抗を低く(湿気が逃げやすい素材剪定)をすることで壁内結露を未然に防ぐか結露発生してもすぐに放出できる構造なら問題ありません。

グラスウールは数値的な熱抵抗値はそこそこなのですが。夏場だと黒い外壁の場合は室内に熱の影響がすぐに出ます。

断熱性は“熱を伝えにくくする性能”ですが、どれくらいの時間をかけて伝わるかは別問題です。グラスウールは確かに熱を伝えにくいのですが、熱の溜め込み量が少ないため、短時間ですぐに温度変化が現れます。つまり、“断熱性が高い=温度変化しにくい”とは限らないのです。

事務所にてこんな実験をします。

上の画像は左からグラスウール、木繊維断熱材(充填タイプ)、木繊維断熱材(付加断熱)。バルコニーに数分放置します。

↑元の温度はどれもほぼ同じ。グラスウールはすでに外気の影響を受けていますね。

↑サーモカメラで確認すると、グラスウールは表面どころか、裏面の方まで熱が染み込んでいるように見えます。一方で木繊維断熱材の付加断熱用は表面すらほぼ温度変化なし。日に当てて数分です。

しかし、数値的な断熱性能はグラスウールが圧倒的に高いのです。

えっ?と思われた方。断熱性能とは一体何なんだ!?となりますよね。

断熱性能が高い=熱は通りにくい。でも時間が経てば伝わる。この“時間差”が重要です。

だから、家の快適さには「熱を伝えにくくする性能(断熱)」だけでなく、「どれくらい熱を溜め込んでくれるか」も大切なんです。

ですが、この木繊維断熱材、いいお値段します。これがデメリット。

もうひとつでメリットは。付加断熱までするけど数値的な断熱性能はそこまで高くなりません。UA値は0.35〜0.40くらい。数値だけ気にする人にはデメリットですね。でも同じ性能値の他の断熱材とは比べ物にならないほど快適。

木繊維断熱材は他にもメリットが多すぎて詳しくはこちらのページで紹介しています。

丸庄の姿勢
木繊維断熱

決してグラスウールを否定するものではありませんし、これでないとダメということもありません。しかし、この情報化社会の中で、断熱性の数値ばかりがもてはやされ、ずっと違和感を感じていました。

快適な家とは断熱性能が高いだけではないはずです。それをずっと解決したいと思っていたのですが、やはり最初の1棟目、実績がないことにはお客様にも提案できない中で、色々なご縁とタイミングが重なって1棟目を迎える運びとなりました。お客様には感謝いたします。

この「詩家-ウタエ」というブランドをスタートするまでに3年準備をしてきました。このタイミングで次世代の断熱材を使っていく決断と木繊維断熱に興味があるお客様とのご縁が、断熱性能だけが重要視されている世の中を変えていくことにつながると思っています。