先日のブログで書いた屋根のルーフィング、単にいいものを使うだけではありません。

屋根のどこが一番痛むか?という問いに対してすぐに答えられるHMの人間は現場のことが詳しい、といっても過言ではないくらい、職人の中では当たり前だけど建築関係者にはそこまで知られていない事実として、屋根は端から痛むことが圧倒的に多いのです。

もちろん瓦屋根の場合で古くなったりした場合はズレたり割れたりで真ん中から痛みますし、板金屋根でも錆が発生すれば真ん中から漏れます。

今回の話はそういうことではなく、屋根の先端が抱える根本問題があるというお話。

話がそれますが、板金は雨漏れしやすいという事を無料相談会で聞かれたことがあるのですが、それはイエスでもノーでもあります。それは板金というもの自体、そもそも水が板金の裏側を伝うことで、壁の奥に水を伝わせない事を前提して考えられているという、ほぼ誰も知らない事実があります。だから水が壁の中に伝うことが雨漏れと思われたりもします。

私が大工時代によく改修工事で波トタンの外壁を張り替えていましたが、確かに下地の胴縁には雨が染みた後が必ずありますが、柱や壁自体は濡れていたり傷んでいたことは全くありませんでした。板金は波型の形状のため、今でいう通気工法が自然とできていることで、多少釘穴から胴縁が水を吸ったとしてもすぐ乾燥し、50年経とうが外壁がどうにかなるほどの劣化は起こらないのが通常です。

で、屋根も同様に、屋根材とその裏側は基本的には水が伝うのが板金屋根の宿命です。

赤で書いたように、屋根の場合は、重なり部分から水が入り、内部でそれを受けることで、防水をします。しかしながらこの受ける部分で屋根合板にビスで固定するため、必ず屋根合板に水は染みます。

そこで、内部に水が伝わらないように、頂部にホットメルトという止水部材を入れることで、水の侵入を防ぎます。

こんなのどこの会社もやってるんでしょ?と思うかもしれません。残念ながらほとんどの会社がやっていません。なぜか?コストがかかるからです。知らないからです。

で、ようやく最初のルーフィングの話に戻りますが、水というものは下に溜まります。内部から伝った水が先端に溜まり、ルーフィングと下地板金が密着しているところで毛細管現象が起こり、今度はシートの裏から上に水が昇っていきます。

するとその下の合板まで濡れ、ルーフィングが密着して乾かないから合板が傷んでいく、という感じで先端が痛みます。

そこで上の写真のように(ちょっとわかりにくいですが)、先端のみルーフィングが二重になっており、下地板金を挟んでいるような状態を作ることで、内部に染みた水をさらに外に流すような工夫がされております。

こんなのどこの会社でも、もちろんやっていません。岐阜県内探しても多分ないです。全国探したらもしかしたら・・それくらいのレベルの話。

残念ながらこんな細かなことまでお客様には話していません!ふーん・・って感じになるのと、この話が理解できるほど、建築の深いところを知る監督や設計者すらそうそうはいない。言わないからやっていないのではなく、当たり前にやる。本当にいいものってそうだと思うから。

今の世の中は現場監督が現場に来ないのが常識です。設計者も現場の写真すら見ているかどうか。分業制で自分の仕事のみを淡々とこなす。

それが仕事でミスを起こさないことに繋がり、結果として品質を安定させる。しかしできているものを監督は確認しない。という、単に顧客にクレームを言われない為のシステムができあがっており、名ばかりの品質を謳うHMが本当に多い。

問題をどう解決するか、を本来なら突き詰めて考えるところ、いかに問題を問題とさせないか、に目がむ言いているというか。だから勢いがあって数をこなすHMは闇が深すぎます。

建築に限らず世の中の至るところでそんな話はあると思いますが、家も人も腐ったら終わり。泥臭く真面目にやるのが私には合っていると思います。