戦後の物が不足している時代、別の場所からこの地へ移転されたこの建物。某大手メーカーの女子寮だったものをご主人が運んできたそうです。とても素敵な佇まいで、美しい建物です。
戦後直後ということで床下の構造材も不足しており、そこへシロアリの被害が重なり、畳は沈み、建具の敷居までシロアリに食われていました。
シロアリは湿気がある土壌を好みます。今回の建物も堤防のすぐ麓で、周りも造成されて高くなっており雨水などが浸透してきやすい場所でした。床下換気口は現在の住宅以上に空いているものの、土壌が常に湿気っているため床下でシロアリが大繁殖していました。
シロアリによって食害された部分は手で触るだけで崩れてきます。シロアリは光に弱く木の内部から被害にあうため見た目は普通の木材でも中身はスカスカです。9cmほどの丸太も手で半分に折ることができます。
床組や敷居を全て取り払い消毒をしてから全て新しい床組に作り替えました。畳が出来上がれば完成です。
これで安心して暮らせると仰って頂けて嬉しいです。
これまで多くの家を見させていただきましたが、床下が土の場合はシロアリがいる確率が高いです。特にお風呂場や洗面、トイレなどの水回り、外壁のトタンが錆びて構造体が濡れる箇所などが被害に遭いやすいです。また、床下がコンクリートで覆われていても、シロアリは光に当たらず移動できるように土のトンネルを作って移動します。この土のトンネルが基礎などにあった場合はシロアリがいますので注意が必要です。
日常から家の周りを点検し、土のトンネルが付着していないか見るだけでもシロアリ被害は減らせると思います。