デザインというとどうしても表面上の話ばかりにフォーカスされがちですが、家の形状やデザインを決めるのは家を建てる人がどんな問題を抱えているかと、好き嫌いでほぼ決まるのではないかと思います。
問題解決のデザイン?自分たちには問題なんてないよ?という方も多いのでは。
- リビングが広い方がいいけどそんなに大きな家だと予算が合わない
- 日当たりの悪い土地ではないだろうか
- 家の中から外の人目を気にしたくないけどカーテンもいやだ
- 家事を楽にしたい
などなど。それらを解決する方法として間取りも大事な事なのですが、暮らし方をデザインする・発想の転換もとても大切です。
■リビングが広い方がいいけどそんなに大きな家だと予算が合わない
→広いことがいいのか、広く見える事でもいいのか
→リビングが広く見えるように庭とつながる(コンパクトなリビング)
■日当たりの悪い土地ではないだろうか
→直射日光が入らないとだめなのか、明るければいいのか
→吹抜けや北側の窓で安定した明るい室内を確保
■家の中から外の人目を気にしたくないけどカーテンもいやだ
→リビングは1階でないとだめなのか、2階でもいいのか
→中庭を囲む間取りでカーテンの無い暮らし、2階リビングで外部から距離を取る間取り
■家事を楽にしたい
→そもそも間取りでしか解決できない事なのか
→回遊動線の間取り、家電の力を借り家事を楽に
これから家を建てる方がこのような問題に直面した時、その問題の本質がどこにあるのか、なかなか自分たちでは分からない事も多いと思います。
問題の本質がどこにあるか、どのような手法で解決できるのか、それを考えるとデザインや間取りの方向性はほぼ決まります。
最終的な判断は、デザイン・会社含め、好みなのかなと。。
それとこのホームページでも至る所に現れる「ゆたかな暮らし」は私からの問題提起でもあります。
家を建てるのは何故か。
家賃がもったいないから?手狭になったから?不便だから?
広くて便利な賃貸に越せばいいのです。家賃が上がる?一軒家の方がお金はかかります。
日々の暮らしの質を上げる
理想の暮らしがしたい
快適な暮らしがしたい
家族を守りたい
満足したい
結局は家づくりのスタートは「暮らす」ことなんです。
どのように暮らすかの具体策を考えれば、理想は自然と見えてくると思います。
私は建築の勉強を始めて、かれこれ20年を超えましたが、家づくりの本質に気が付くまでには長い年月を要し、多くの失敗をしてきました。
暮らすことは生きることそのものです。
どう生きたいか。
私もまだまだ完全には答えは見ていませんが、日々そんなことを考えながら暮らしています。
そこで見えてくること、感じることを、自分の暮らしの中で実践しています。
人工芝とウッドデッキだけの殺風景な庭。そこから感じるものは何もありませんでしたが、これで良いのかこんな暮らしが自分はしたかったのかと、自問自答を繰り返し、人にやってもらうのではなく自分自身の手で、理想の暮らしができる庭に造り替えました。(もちろん家も全て自分で造っています。)
ウッドデッキを小さくし、天然芝に張替え、天然石を配置し、植栽も。時には子供とアサガオの種をまいたり。そしてほぼ完成↓
今までは家の中だけしか家でなかったのが、家の外まで家になったような、そんな錯覚を覚えるようになりました。
どこに意識が向くか、ただそれだけで暮らしは変わりました。
だからこそこだわって、いろんなところに意識が向くような家づくりをすることは、ゆたかな暮らしに繋がると思うのです。
この夏が終われば、次は家の中を改造予定。
私自身も理想の暮らしを追い求めて、日々挑戦し続けます。
自分のためでもあり、それがお客様のためにも繋がると信じて。